リース契約の特徴
ファイナンス・リースの仕組み
わが国で最も多く行われているファイナンス・リースは、次のような手順で行われます。
①設備等(リース物件)の選定
②リースの申込み
③リース契約の締結
④リース物件の売買契約の締結
⑤リース物件の搬入
⑥物件借受証の発行(リースの開始・リース料支払)
⑦物件代金の支払い
⑧リース物件の保守契約の締結
ファイナンス・リースの特徴と賃貸借契約(レンタル契約)との違い
- リース物件の選定
不動産賃貸借やレンタルは、賃貸人がもともと保有している土地や建物、あるいは特定の商品を取引の対象としていますが、ファイナンス・リースは、ユーザー(賃借人)が選択・決定した物件をリース会社(賃貸人)がユーザー指定のサプライヤー(販売会社)から取得して、それを契約の対象としています。 - 三者間の取引
したがって、ファイナンス・リースの場合、取引全体としては、ユーザー、リース会社、サプライヤーの三者が関与することになります。ユーザーとリース会社とのリース契約、リース会社とサプライヤーとの売買契約は、別個の契約ですが、リース物件の引渡し、瑕疵担保責任などに関する条項は密接に関係しています。 - 解約不能
ファイナンス・リースの場合、リース物件の代金は、リース開始時に、リース会社からサプライヤーに全額支払われ、リース会社は、リース期間中に、物件代金と取引に要した諸費用のおおむね全部をユーザーが支払うリース料で回収することを予定しています。したがって、基本的にリース期間中の解約(中途解約)は禁止され、中途解約をする場合には、残期間のリース料またはそれに相当する違約金を一括で支払うよう、契約で定められています。
ファイナンス・リース契約と賃貸借契約(レンタル契約)違いを整理すると、下表のとおりとなります。
対象物件 | ユーザー指定の物件で、ユーザー指定のサプライヤーからリース会社が新たに取得したもの。ほとんどすべての機械設備、ソフトウエアが対象となる。 | 賃貸人保有の不動産、動産が対象。動産は在庫品の中から選択するため、不特定多数が使用できる汎用性のあるもの(例えば、企業向けには建設機械、測定機器、絵画、観葉植物、個人向けには自動車、パソコン、ビデオ、CD、家具・寝具、介護用品、旅行用品など)。 |
契約期間 | 比較的長期。税務上の規定により、リース期間は、耐用年数の70%以上(パソコンの場合、2年以上)で設定する。 | 土地の場合はかなり長期。オフィスや住居の賃貸は2年契約が一般的。動産の賃貸は比較的短期で、時間・日単位の契約が多いが、数ヵ月あるいは1年を超える契約もあり、契約期間は使用目的(一時的使用か一定期間の使用か)によって異なる。 |
賃借料 | ユーザー指定で新たに取得した物件を対象とするため、リース料は、そのユーザーとのリース契約期間中に、物件代金その他の費用が全額回収できるように設定される。 | 一つの物件について、不特定多数の人を対象に複数回賃貸することを予定し、それによってその物件に投下した資金と諸費用が回収できるよう、賃借料(レンタル料)が設定される。 |
物件の引渡し | サプライヤーが物件を直接搬入し、ユーザーは物件を検査した後、「物件借受証」をリース会社に発行、リース会社がこれを受け取ったときに引渡しが完了する。 | 賃貸人が物件を引渡す。 |
解約 | リース期間中の解約(中途解約)はできない。解約する場合には、残リース料または残リース料相当額の違約金を支払う。 | 一般的に、賃借人は解約権を有する。ただし、土地、建物、その他比較的期間の長い契約のときには、解約できない期間(契約日から所定の期間)、解約予告期間(解約申し出から解約日までの期間)を定める場合がある。 |
物件の修繕等 | ユーザーが物件の修繕義務を負い、サプライヤーとの間で保守契約を締結する。 | 賃貸人が物件の修繕義務を負う。 |
物件の品質等の不適合 | リース会社は物件の品質等に不適合があった場合の責任を負わない。ただし、リース会社の承諾を経てユーザーはサプライヤーに対して損害賠償等を請求することができる。 | 賃貸人は物件の品質等に不適合があった場合の責任を負う。 |
物件の滅失 ・損傷 |
物件が滅失・損傷した場合、ユーザーは損害賠償等を請求できない。ただし、通常、リース物件には保険が付されているため、損害の大部分は保険でカバーされる。 | 賃借人に帰責事由がなく物件が滅失・損傷した場合の損害は、賃貸人が負担する。賃借人は賃借料の減額請求または契約を解除することができる。 |
契約の更新 | リース期間終了後、リース契約を更新(再リース)することができる。再リース料は低価格となる。 | 賃貸借(レンタル)期間終了後、同一条件または新たな条件で契約を更新することができる。 |
ファイナンス・リース契約の条件
- リース期間
税法上、賃貸借処理が認められるファイナンス・リースのリース期間は、耐用年数の70%以上でリース期間を設定する必要があります。例えば、耐用年数4年のパソコンの場合、2年以上(※)が賃貸借処理可能なリース期間となります。(※)最短リース期間:4年×70%=2.8年(端数切捨て)=2年 - リース料
リース料には、物件価格、金利、固定資産税、保険料(動産総合保険等)、リース会社の管理費・利益が含まれ、これらの合計をリース期間の月数で割ったものが、毎月の支払リース料となります。 月額リース料 =(物件価格+金利+固定資産税+保険料+管理費・利益)/リース期間(月数) - リース物件の引渡し・使用・リース料支払
リース物件は、サプライヤー(物件の販売会社)から直接ユーザーのもとに搬入され、ユーザーは物件の内容を検査し、物件の品質等が契約の内容に適合していることを確認して、「物件借受証」をリース会社に発行します。リース会社が物件借受証を受け取ったときに、物件借受証記載の借受日をもってリース会社からユーザーへのリース物件の引渡しが完了します。通常、物件借受証記載の借受日がリース開始日となり、ユーザーはリース料を支払い、リース物件を使用することができます。 - リース期間中の主な留意事項
リース期間中は原則として解約することができませんが、当事者双方が合意して解約する場合、ユーザーは残リース料または残リース料相当額の違約金を一括してリース会社に支払います。リース物件の保守・修繕はユーザーが負担して行います。リース物件の品質等に不適合があった場合、リース会社は、ユーザーのサプライヤーに対する損害賠償等の請求に協力します。リース物件が、リース会社・ユーザー双方の責任によらないで滅失、損傷した場合、ユーザーはリース会社に対して損害賠償等を請求することができませんが、損害の大部分は保険でカバーできます。契約違反(リース料の不払い等)は契約の解除事由となります。(「リースのご案内・リース契約書の主な条項」参照) - リース終了時の選択
リース期間が満了するとリース契約は終了します。通常、リース期間満了の2~3カ月前に、リース会社からの通知が来ますが、その際に、引続きリース物件を使用したいときは「再リース」を選択し、契約を終了するときは、ユーザーの負担で、リース会社が指定する場所にリース物件を返還します。